女優として不動の地位を確立した一方、私生活では、アラン・ドロンとの恋愛と破局、
ドイツ人の演出家、俳優ハリー・マイエンとの結婚、長男ダーフィトの誕生。マイエンと
の離婚、年下の秘書ダニエルとの再婚と離婚、と変化が続き、本人の願いとは裏腹に、
安定した幸福は長続きしませんでした。晩年は、大病を患い、愛息の事故死という大
きな衝撃に見舞われながらも、最後の作品となった「サン・スーシの女」では二役を演
じ、本物の女優への激しい闘志を見せました。しかし、心身の消耗、それを押さえるた
めのクスリの乱用は、ロミーを再びスクリーンヘ戻すことを阻みました。
ロミーの短い、振幅に富んだ人生を考えると、いくつかの二律背反性が見えて来ま
す。ひとつは、女優として育て、スターとしての地位を与えてくれたフランスへの想い
がある一方で、生まれた地であり決別したドイツへの憧慣です。「フランスからは生き
ること、愛することを学んだ」と言い、一方で「ドイツで舞台に立つことが私の願い」と
述べています。また、平凡な家庭人としての幸せを望みながら、そこに安住できず、
「カメラの前に立つと、私は別の人格になる」と仕事への激しい情熱と闘志を見せる。相
反するもののはぎまで苦しみ、結局は苦しく辛い選択をしてしまうロミーでした。
「人生は短い」。それが幼いころからロミーの口癖でした。まるで自らの運命を予期
していたかのように。それゆえ、何かに憑かれたようにすべてに果敢に挑戦していった
のでしょうか。ロミーの演じたシシーは、不自由な生活の中で自由を求めて懸命に生
きた。しかし、実像のロミー・シュナイダーは、自由な生活の中で、敢えて不自由さを
求めたのではないでしょうか。本当の自由とは何か、本当の自分とは何かを追求する
ために。